2年前に西宮に戻ってきてから一切乗っていない。ブランクがあることだし、電動自転車にも慣れていない。しかも全く知らない異国で乗るのだ。当然、恐る恐るの運転となった。
最後尾につけて行ったのだが、前とは大きく離され、一度はぐれてしまったほどである。大阪と違って、自転車走行の規則が随分とキッチリしているようだ。それをアドリブで守りながら運転するわけだが、すぐ隣を猛スピードの自動車がビュンビュン通り抜けていく。「パリは運転が荒い」ということなのだろうけれども、自動車が獣のようだ。ほぼすべての車のどこかが凹んでいる。一様に砂埃にまみれていて、日本で見る車の姿とは異なるように思った。そんな獰猛な獣は荒ぶりながら走り抜ける。
(おそるおそる。)
自転車の道が確保されているのでそこを走行すればいいのだが、そのスレスレを獣が走っていくものだから、恐くて仕方がない。それでも前の自転車に離されないように一生懸命漕がなくてはいけない。スリル満点のライドとなった。
「とにかく無事に自転車の旅を終えなければならない」これが筆者の至上命題となった。筆者だけではない。前を行く演出の増田さん、俳優の村上さんももちろん無事に、何事もなく、ホテルに帰ってもらわないといけない。道案内や会話は全て2人に任せっきり。全くの役立たずではあるが、せめて無力な同伴者として2人の安全を絶対に確保しなくてはいけない。そういうことを思いながら自転車の旅を続けた。
写真1枚目
ヴェリブというレンタサイクル。24時間コースというものを選択している。しかし24時間乗り放題、ということではない。24時間以内に、一回あたり最大45分を六回まで。このあたりが難しいところ。パリのいろいろな場所にこの自転車が置いてあって、時間内にどんどん乗り換えて行くのである。
写真2枚目
凱旋門に自転車で到着した。この凱旋門近辺こそ、獣たちが最も荒々しい場所であって、本当にヒヤヒヤしっぱなしであった。獣たちはテンションが上がってしまうのだろうか。それにしても凱旋門は壮観であった。自転車でここに到着して写真撮影をしている人は他にはいなかった。少し自転車を離れた時、他の観光客がすかさず我々のマネをして自転車にまたがって写真におさまっていた。
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この記事を書いた人
西宮市で演技レッスンをしています愚禿堂“グトクドウ“の中野です。愚禿堂“グトクドウ“は、演劇を体験してみたい方向けにワークショップを開催したり、すでに俳優として活動しておられる方にはマンツーマンでのレッスンをさせていだく演劇教室です。演劇を習い事の一つとして選択していただけるように日々研究をしています。